『遠い夏のゴッホ』を見た

久しぶりの陳内さん舞台、初日見てきました。

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ベアトリーチェ、君が地上に出てくる来年まで、僕は必ず生き延びてみせる」
恋人よりも1 年早く羽化してしまったユウダチゼミのゴッホが、生きて生きて生きまくり、
セミには絶対に不可能な冬越えに挑む大冒険---。
SHATNER of WONDER 6 つ目のお話は、2013 年に初演され大絶賛を浴びた、
誰も知らないちいさな森の奥で起こる究極の愛の物語です。

ということです。主役はセミ、エンターさんとマベちゃんはアリ、照井竜くんはミミズ。
ゴッホベアトリーチェの恋愛が主軸で、食ったり食われたりのバトルあり、寿命で死んでいくひと夏の命あり、なぜ成長するのか何のために生きるんだ、時の流れと空の色はなぜ自分の意思に関わらず変わっていくのか、みたいな舞台っぽいテーマが絡んでた、かなあ……?
雑すぎる言い方だと、森ちほーに住む昆虫とトカゲとカエルのフレンズが涙あり笑いありのどったんばったん大騒ぎでした!

西田シャトナーを信じろ

以前見た『ロボ・ロボ』の陳内さんもすっごいよかったので、また西田シャトナー舞台やるって告知見た時点でめちゃくちゃ期待してました。今回のアリのゼノン役陳内さんもセリフこそ多くないものの、めちゃくちゃいい感じでしたね……。

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ゼノンは哲学者なんだよねえ。自然科学から出発してるのも哲学史だよねー?他の働きアリが言われたとおりに狩りをやったりしている中で、ゼノンは効率よく群れが生活する方法についてデータ集めをしている。
他のキャラの多くは体を大きくして生存競争に勝ち抜くぞー!いい声で鳴いてメスにモテたいぞー!っていう本能の部分が行動の中心にある。もうちょっと賢いキャラでも、「過去にこういうことがあった(だから次も同じことが起きるだろう)」という自分の体験を元にしたことしか語れない。
その点、ゼノンは自分以外の他種族の視点に立って物事を見るところまで到達して「なぜ生き残るために他の生命を食うのか?彼に助けてもらった義理があるのに?」って苦悩したりする。「森で昆虫たちが恋をしたり出会いと別れのドキュメンタリー」みたいなところより、一段上の話をお客に投げかける役どころだった。
色々と、他のキャラも「不完全に生まれて繁殖できないままミジメに生きたくなかった」みたいなエピソードがあったりするんだけど、ゼノンのセリフは「これ虫の一生ってだけじゃない深い話やってるんですよ」って感じがストーリーテラー的(?)で異質の存在だと思った。

色々

スタスキーさんのギャグパート面白かった。シリアスばっかりだと疲れるし、ところどころ全力でほぐれていいよねー。
イルクーツクさんの家での長台詞がすっごいよかった、すごかった……。泣いたり記号的なものは何も使わず、ただグラスを片手に座って訥々と語るだけで寂しさ無力さが滲みでる感じ。役者ってすごい。
終盤、ゼノンが女王アリと会話してるシーンで、まあ特にセリフもなく次の群舞待ちの感じのマベちゃんがニコニコしながら女王アリのほう見てて、なんだよ可愛いじゃねーか!ってなった。思い出してもニヤニヤしちゃうわ。

群舞終わりで、女王アリさんがポールダンスみたいな、床と平行のポーズで静止してて肉体を使ったの美の表現〜って感じになったりした。

イケメンが昆虫のメス役やるのいいよね!かわいい!エロい!

舞台装置が良いと思った。三角形とかの枠の中に障子紙みたいなものが葉脈みたいなイメージで貼り巡らせてあって、それがいくつか浮かんでるの。

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劇場覚書
天王洲銀河劇場。品川駅高輪口を出たらくだりエスカレーターに乗る。くだったら振り返る。エスカレーター乗り口の真下くらいの場所に天王洲アイル行きのバス停がある。
劇場ロビーの公演オリジナルカクテルはノンアルコールにもしてもらえるっぽい。
F列右手ブロック(25〜)に座って、舞台近く感じるし、音も満足、見やすくてよかった。でもリピーターチケットとか座席選べるものならもう数列後ろでもいいから、中央ブロックがいいかなあという感じ。