『アデル、ブルーは熱い色』を見た

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公開前からレビューで「賞レース大本命作品!」「レズビアンの過激セックス!」と散々見ていたので、そうなのかーと冷やかしにいってきた。私の一番好きな映画は10年前からメルヴィル監督の『サムライ』だし、ついでに『ゲンスブールと女たち』も良かったし、フランス映画というだけで期待値高い。

もうねーつらいねー……濡れ場はたしかにすごかった、というか女優さん頑張ったなあと感心するんだけど、全然メインじゃなかった。エマ(青髪レズビアン美大生)とすれ違って恋に落ちる瞬間、観客も完全にエマに落とされた。宣材写真見たときは(失礼ながら)(自分の顔は棚に上げて)ブスだなーと思ってたんだけど、動いてるの一目見たら全力で土下座した。すごいイケメン!かっこいい!抱いて!鋭いその視線が好き!監督とかカメラの力か、女優さんの演技力か、アデルもエマもすっごいブサイクだったり、超絶美形だったりする。本当に不思議だ。

よくわかんないけど、アデルの表情とか、エマの口調とか、カメラの位置とか、すごく上手いんだろうな。セリフで「あいつあんたのなんなのよ!」とか言わせなくても悔しさとか、心が離れる感じとか、寂しさとか伝わりすぎて痛いしつらいしちょっと手加減してください……。アデルが号泣するシーンで会場がすすり泣きの嵐だったじゃないですか……。フランス人も浮気を責められると「寂しかったの」「酔ったいきおいで」って日本人みたいな言い訳するのかーとかぼんやりしてたのに落差がひどい。アデルとエマが幸せで笑い合ってると見てるほうも笑顔になっちゃうし、二人が泣いてるとこっちも泣いてしまう。

『La vie d'Adèle』の日本語タイトルを原作本に合わせて『アデル、ブルーは熱い色』にしたのは良いと思った。エマが青髪から金髪になったのはわかりやすいんだけど、アデルの部屋のシーツとか洋服も、二人が惹かれ合ってる時期は青なんだけど、離れてからは黒とか白とか色彩がない。再会するとき、青い照明だとか青い服がまた出てくるとか「そのドレスいい青だね」ってセリフがあったりとか。

ハッピーエンドでもバッドエンドでもないのかな。ただ、人はみんな変わっていくね、と。悲しいけど、自分と自分以外の人は別の人生を行くしかないねー、と。青春モノとしてベタを通り越して古典的な話だけど。映画を見てる間、観客はたしかに熱い青いアデルの人生を一緒に過ごしたし、アデルにもエマにも友達みんなにも幸せな未来があってほしいと願うばかり。