『壁蝨』を見た

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陳内さん舞台初日!劇場で席を確認してから、初めての最前だとわかって無駄に緊張しながらの開演待ちでした。

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久しぶりに下手な舞台セットの図を。
青い四角が椅子です。舞台上に背もたれの形などが違う真っ白な椅子が並んでた。舞台の中央が一段高くなっていてその上にも背もたれのない四角の椅子が一脚。舞台の奥の方にはギターのセッティングがされていた。
もうさあ、満員の劇場で、初日で、最初の音、ギターの音を確認するように爪弾いてるとき、見てるほうが緊張のピークだった……。

 

あらすじ

主役のマコは母子家庭の子で母一人子一人。
第一幕。マコは中学校3年生で、クラスメイトの女子にいじめられている。母と喧嘩したりもする。今回の陳内さんの役どころはマコの幼馴染で初恋の相手ユウト。
第二幕。マコは社会人で、結婚して数年の夫とまあまあ幸せ。母は料理を作りすぎたと家に遊びに来る。会社の先輩を通じて偶然中学時代のいじめっ子やユウトと再会。
第三幕。マコは中学生の娘のいる母になっていた。


白から黒まで

白い椅子が整然と並んでいる舞台に、全員が白一色の衣装で静かに出てくる。着席すると主役のマコが舞台上の一段高くなっているところで「2000年の夏のわたしは〜」などと語りはじめる。
なんの事前情報もなく客席にいたら、はぁ、これは観念的な芸術作品的なアレなんですね、なるほどーという体勢で見る。すると、じきに思い違いだったな、けっこう俗っぽいなという感じになる。
いじめの場面は壮絶だし、母娘の喧嘩もすごい勢いで怒鳴りあうし、「あたしはダニ!あたしは欠陥品だから!あたしがいていい場所はないから!」とか直球で泣き喚いて、舞台中を走り回って、最初からクライマックス。最初からこのテンションに客席はすすり泣きで、この先どうなっちゃうの……。
いじめられてたマコがいじめっ子相手に啖呵きって、母娘が和解して場面転換。
白い上着を取るとみんなスーツとかいたって普通の色のある服だった。マコの衣装は黒系のパンツスーツで、中に白いシャツを着てる。ギャグパートというか「なにその空気!気まずい!ほら、お客さんも気まずくなってるじゃん!」みたいな。ユウトも先輩とビール飲みながら「……16」「えっなに今の間!」「そういう間じゃなくて、16?っていうほうの間ですって(?)」「いやいや今の間はそっちじゃなくてこっちでしょ!?」とかコメディやる。
見てる方はつかの間の休憩時間だった。嵐の前の静けさだった。
場面は変わって、マコが母の立場から、自分の娘に、かつての母と同じセリフを言う。マコの衣装は黒一色。喪服っぽいなあと思ったら、終盤でマコのお母さん死す。これネタバレかなー……。
死そのものはショックではあるけど、こういう出来事がありましたという話でしたね。そのあとの、もういないお母さんに向かって娘の立場から語りかけ続けるマコのセリフがすごくてすごくて。
お母さんがいなくてもまだ人生は続いていくし、子供だった”私”はいつかお母さんを追い越していくしかない。すごいんだよ。声を荒げるでもない、単調に語るんだけど、その中に含まれて抑えきれず溢れ出るものがすごいんだよ……。芝居の力だよ……。


芝居やばい

登場人物は誰もが身近にいる普通の人間っぽさはあって、それでいて生臭くはない。
親子喧嘩ってこういうこと言っちゃうよねー、性悪女が彼氏の前ではいい顔してるとか、ほんとよくいる人しか出てこないんだよ。ユウトみたいなちょっと変人のお調子者世渡り上手なイケメン後輩もいるいるーって感じ。そういうよくいる人たちが「いるーわかるーこいつはこういう奴だよねー!」って違和感なく舞台上に存在するってすごくない?どのシーンも、わかるーあるよねーって日常モノの連続。それが絡み合って心臓にずっしりくる物語になってるのがすごい。
序盤、マコが中学生の頃の話は心臓をナイフでザクザクやられるような衝撃の連続だった。中盤はバラの棘で刺されるような感じ。序盤中盤は外側からくるんだよ。終盤は一滴一滴気づかないうちに毒がまわる。最後の最後、暗転の瞬間に「おまえはもう死んでいる」って宣告されて息もできないみたいな。自分の内側の毒がぶわあって広がった闇の中に一人放り出された感覚。序盤ですすり泣いても、暗転のときはもう衝撃のあまり泣くこともできなかった。
こんなにすごい舞台を見られたのも陳内さんが出演するからで、ひいてはエンターさん、エンターさんを生み出した小林靖子に感謝。

 

色々

橋爪遼さんの生演奏生歌がとてもいい味出てて、ほんと演者の動きに合わせて生演奏の舞台っていいものですよね。
石田ひかりが美人女優なのにちゃんと普通のお母さんにも弱々しいおばあさんにも見えて、パンフレット見て初めてあれが?あの石田ひかり?えー…もっとじっくり顔見ればよかったーってなってる……。
岡本玲さんはじめ女子はモデル兼女優とかアイドルとか多かったんだけど、普通以上に上手いうえに若くてスタイルいい子がミニスカ女子高生役でキャッキャしてる舞台って最高じゃんって思う。足が細くて長くて思わず目で追っちゃう。
ユウト陳内さんは語りも何もかもよかった。ちょっとチャラくて要領良くて根は優しい人な感じリアルだった。

 

劇場覚書

シアタートラム。駅から近い。半蔵門線三軒茶屋駅で下りて、パティオ方面になんとなく歩いてたら着いた。「パティオ」って書いてある壁が噴水になってる広場のところ、雨でも屋根の下を通って行けそう。

座席は最前列の端のほう。見やすかったし音も良かった。

施設はなんていうか質素。ロッカー100円。

 

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『遠い夏のゴッホ』を見た

久しぶりの陳内さん舞台、初日見てきました。

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ベアトリーチェ、君が地上に出てくる来年まで、僕は必ず生き延びてみせる」
恋人よりも1 年早く羽化してしまったユウダチゼミのゴッホが、生きて生きて生きまくり、
セミには絶対に不可能な冬越えに挑む大冒険---。
SHATNER of WONDER 6 つ目のお話は、2013 年に初演され大絶賛を浴びた、
誰も知らないちいさな森の奥で起こる究極の愛の物語です。

ということです。主役はセミ、エンターさんとマベちゃんはアリ、照井竜くんはミミズ。
ゴッホベアトリーチェの恋愛が主軸で、食ったり食われたりのバトルあり、寿命で死んでいくひと夏の命あり、なぜ成長するのか何のために生きるんだ、時の流れと空の色はなぜ自分の意思に関わらず変わっていくのか、みたいな舞台っぽいテーマが絡んでた、かなあ……?
雑すぎる言い方だと、森ちほーに住む昆虫とトカゲとカエルのフレンズが涙あり笑いありのどったんばったん大騒ぎでした!

西田シャトナーを信じろ

以前見た『ロボ・ロボ』の陳内さんもすっごいよかったので、また西田シャトナー舞台やるって告知見た時点でめちゃくちゃ期待してました。今回のアリのゼノン役陳内さんもセリフこそ多くないものの、めちゃくちゃいい感じでしたね……。

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ゼノンは哲学者なんだよねえ。自然科学から出発してるのも哲学史だよねー?他の働きアリが言われたとおりに狩りをやったりしている中で、ゼノンは効率よく群れが生活する方法についてデータ集めをしている。
他のキャラの多くは体を大きくして生存競争に勝ち抜くぞー!いい声で鳴いてメスにモテたいぞー!っていう本能の部分が行動の中心にある。もうちょっと賢いキャラでも、「過去にこういうことがあった(だから次も同じことが起きるだろう)」という自分の体験を元にしたことしか語れない。
その点、ゼノンは自分以外の他種族の視点に立って物事を見るところまで到達して「なぜ生き残るために他の生命を食うのか?彼に助けてもらった義理があるのに?」って苦悩したりする。「森で昆虫たちが恋をしたり出会いと別れのドキュメンタリー」みたいなところより、一段上の話をお客に投げかける役どころだった。
色々と、他のキャラも「不完全に生まれて繁殖できないままミジメに生きたくなかった」みたいなエピソードがあったりするんだけど、ゼノンのセリフは「これ虫の一生ってだけじゃない深い話やってるんですよ」って感じがストーリーテラー的(?)で異質の存在だと思った。

色々

スタスキーさんのギャグパート面白かった。シリアスばっかりだと疲れるし、ところどころ全力でほぐれていいよねー。
イルクーツクさんの家での長台詞がすっごいよかった、すごかった……。泣いたり記号的なものは何も使わず、ただグラスを片手に座って訥々と語るだけで寂しさ無力さが滲みでる感じ。役者ってすごい。
終盤、ゼノンが女王アリと会話してるシーンで、まあ特にセリフもなく次の群舞待ちの感じのマベちゃんがニコニコしながら女王アリのほう見てて、なんだよ可愛いじゃねーか!ってなった。思い出してもニヤニヤしちゃうわ。

群舞終わりで、女王アリさんがポールダンスみたいな、床と平行のポーズで静止してて肉体を使ったの美の表現〜って感じになったりした。

イケメンが昆虫のメス役やるのいいよね!かわいい!エロい!

舞台装置が良いと思った。三角形とかの枠の中に障子紙みたいなものが葉脈みたいなイメージで貼り巡らせてあって、それがいくつか浮かんでるの。

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劇場覚書
天王洲銀河劇場。品川駅高輪口を出たらくだりエスカレーターに乗る。くだったら振り返る。エスカレーター乗り口の真下くらいの場所に天王洲アイル行きのバス停がある。
劇場ロビーの公演オリジナルカクテルはノンアルコールにもしてもらえるっぽい。
F列右手ブロック(25〜)に座って、舞台近く感じるし、音も満足、見やすくてよかった。でもリピーターチケットとか座席選べるものならもう数列後ろでもいいから、中央ブロックがいいかなあという感じ。