今更『クラウドアトラス』
もう多くの映画館で上映終了してる『クラウドアトラス』がすごく面白かったです。
テーマ曲『クラウドアトラス六重奏』の曲名どおり、1849年の奴隷貿易に関わる弁護士、1936年の作曲家、1973年のジャーナリスト、2012年の編集者、2144年の反政府組織の幹部、2321年のヤギ飼いの6つの時代・人生が絡み合って進んでいく。
2144年のネオ・ソウルは押井守『イノセンス』の実写みたいで見ていて楽しい。美女のクローン(髪型はもちろん黒髪おかっぱ)が完璧に管理された清潔なSFっぽい世界で働くのも、外の人間だらけの世界に出たらごちゃごちゃした人ごみ薄汚れた街並っていうのも、わあこれイノセンスだー!ってなる。パンフレットでその押井が「特にネオ・ソウルのくだりはいいですね」って語ってるのは面白ポイントだ。
途中で「境界は越えられる」とかそんなセリフがあったんだけど、本当に性別の境界も人種の境界も越える。1973年のジャーナリスト役をやったハル・ベリーが2144年にアジア系男性の役をやってたりする。この人は一人二役やってるんだなーって思ってみてたら、最後のスタッフロールで一人五役くらいやってる人が何人もいてびっくりした。特殊メイクすぎて気付かない。
全体を通してみると輪廻転生を繰り返すようなストーリーで、キリスト教圏的に輪廻転生ってどうなの?と思ったら、押井が「そこを目指してないと思う」って言ってた。生まれ変わるっていうより「過去の人が次の世代の人の人生を変える」とか、そういう感じの連続性、歴史の積み重ねなのかなあ。
6つの人生のうち、悲恋の物語とハッピーエンドが半々なのがまた良かった。もうね、別れの瞬間の美しさったらないよねぇ……。ハッピーエンド編人生の終わりのあたたかさもいい。
これに反応して観に行ったけど、本当に面白かった……。『クラウドアトラス』に人生変えられたわ。
性倒錯者専門の男娼で盗癖があって音楽家とか…どんな最強設定なんですかね…
— さみどりさん@がんばらないさん (@oeilvert) 2013年4月1日