『片想い』を見た

初座長おめでとうございます!ということで初日行ってきました。
舞台は名古屋の動物園、終戦までの半年間。軍用の馬の飼育に使うから動物を殺処分しろとやって来た大尉三井戸エンターさん。若手飼育員(サル担当)に仮面ライダーディエンド海東さん。

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意外なインテリ役いいよね

松田優作ってドラマ『探偵物語』とかでハードボイルドとかワイルドとかのイメージがあって、映画『華の乱』の感想が「あれ松田優作だったの?インテリ役もできたのかー」以外吹き飛んだことがあった。あの感覚で、意地の悪い悪役イメージのエンターさんが真面目で心優しい(ともすれば気弱な)インテリ役がハマるとすごい。とても良い。現場叩き上げの部下相手にオドオドしてるインテリ上官ってよくある設定の気がするけど、あれは演出によって部下をかっこよく見せることも、上官のキャラを引き立てることも出来る便利設定ですね。
終盤の悪夢の夜(うろおぼえ)の場面で海東さん演じる飼育員を「アメリカの動物園ではサイを手なづけたそうですよ……」と静かに丁寧に詰める大尉は、エンターさんのこれが見たかった!待ってました!としか言いようがない。こういうときに人は「成田屋!」とか叫ぶんですね……。

テンポの良さがすごい

コミカルな掛け合いのテンポの良さが異常。お笑い用語の天丼っていうんですか、多用しすぎのようなふしも感じたけど、何度も笑ったしよかった。舞台セットは途中で大尉考案の大きいカホンっぽい打楽器が追加されるだけで(たぶん)動かさず、それで物陰から覗いたりとか使いこなしてて転換で途切れるよりこっちのほうがいいなあと思いました。

エンターさんが最高

毎度毎度のことだけど、エンターさん最高ですね。
DVDも出ないしネタバレ気にしないで書くと、空襲警報が鳴って防空壕に行きましょうとなったとき大尉が「暗いところも狭いところもダメなんです!あんなところに逃げるより大地の上で死にたい!」と錯乱して、上空のB29に向かって「当ててみろおおお」のシャウトで暗転するところが一番の見所でした。
アイドルユニット的なアレで歌ったり踊ったりしているからか、手話の動作が優雅で麗しく、手話として伝わっているかはさておき美しい〜〜〜眼福〜〜〜と……公演パンフレットのプロフィールに書かれていた『悪役エンター役を演じ人気を博す』の一文もわたし気になります。手話の演技のある舞台にエンターさんを出演させたのも、プロフィール書いたのも、誰だかわからないけどエンターさんの良さをわかっていらっしゃる。私が求めているのはまさにこのエンターさんです。握手握手。

 

本当に、陳内さんはいい役者だと思うんですよ。『悪』は舞台上の何もないところに陣内さんが座るだけでその場が男の一人暮らしの安アパートの一室に変わったし、今回『片想い』のラストシーンではただベンチに座っているだけで、舞台装置は何も変わっていないのに、戦後の焼け野原、晴れた日、乾いた風に吹かれ舞い上がる土埃が見えた気がしました。まったく亜空間のマジェスティ・エンターの空間を展開する能力はすごいですね!

f:id:tamamo0:20160216235645j:plain俳優座劇場のロビーに俳優座劇場の模型があった

 

劇場覚書
とりあえず古い。ロビーにバーっぽいのがあったけどロビー狭い。
六本木駅6番出口を上がって目の前が劇場。方向音痴でも迷いようがないレベルで目の前。
8列目ど真ん中でちょうど見やすい感じだった。